08.09.01発行
TP通信:vol.92 靴修理大解剖 後編 ~靴が仕上がるまで~
前回は解体するところまでお見せしましたが、今回は一気に仕上がるところまでをお見せしたいと思います。こちらも、前編に負けないくらいに細かい作業が続きますが、最後まで飽きずに(笑)ご覧下さい。それでは早速参りましょう!
まずは、前回切り出したソールを写真の圧着機を使って仮止めしていきます。え!? グットイヤーウエルト製法の靴なのに接着?と思う方もいらっしゃるかと思いますがご安心ください!これは、ソールを縫い付ける際、ずれないようにする為にごく少量の接着剤を使って“仮止め”しているだけなんです。あまり大量に接着剤を使ったら接着の靴になってしまいますからね(笑)
コバカッター
グラインダー
仮止めが終ったら、ソールをウエルトの幅に合わせて、コバカッターとグラインダーを使って整えていきます。なぜ2種類の機械を使って削るかって?グラインダーは、幅5cm程の高速回転するヤスリがついているので平面を削るのに適しています。コバカッターは、幅数㎜の同じく高速回転するカッターがついているので細かい部分を削るのに有効です。靴は大抵どれでも土踏まず部分がえぐれた形状になっています。その為、土踏まず部分のソールを削る際には、グラインダーですとアッパーにキズをつけてしまう恐れがあるので、その部分は小回りの利くコバカッターを使うのです。こういった“削る”という作業の中にも、これだけの細やかな気遣いをしているのです。
次に出し縫いをかける為の溝を掘っていきます。実はこの溝を掘る作業にも職人さんのテクニックが隠されているのです!この溝は、前編で紹介したウエルトの縫い穴と同じ位置にないと、溝から外れて出し縫いがかかってしまう恐れがあります。その為ソールの端から縫い穴までの距離を合わせなければなりません。どうやって合わせているかって?職人さんに確認したら“感覚”だそうです…さらに、靴によってこの距離はまちまちですので、1足ごと“感覚”を駆使して機械の設定を変えながら行っているそうです。さすが!というのは失礼かも知れませんが、不思議なくらいどの靴をやっても合うんですよね。まさに職人技です。
いよいよソールを縫い合わせます。あれ?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、実はソールを縫い合わせる時は、写真のように靴をひっくり返した状態で行います。先ほど掘った溝に沿って縫うことだけでも難しい作業ですが、さらにすごいのが、表側のウエルトの穴が見えない状態にも関わらず、その同じ穴に正確に縫い付けていくのです!時間にして数十秒という早業です。
Before
AFTER
こちらの写真を見てください!綺麗に糸抜きされた穴に、正確に糸が等間隔で入っているのがお分かり頂けると思います。見えない状態なのになぜこれほど正確に?と不思議に思って職人さんに聞いてみました。答えは、溝堀りの時とほぼ一緒でした(笑)!その靴の縫い穴の間隔に合わせて、縫う前に機械の設定を変えながら行うのだそうです。ただし、革物ですので、必ずしも一定の間隔でない場合もあります。そういった部分は、職人さんの感と経験でカバーしているのです。
ここからやっとソールの仕上げ作業に入ります。コバカッターやグラインダー使って余分なソールを削り落としていきます。この時は縫う前の大まかな削りと違い、3~5種類のより目の細かいコバカッターやグラインダーを使って綺麗に仕上げていきます。
そしてコバまわりに色付けした後、バフと言う機械(分りやすく言うと高速回転するブラシや布)を使って色艶を出していきます。
今度はソール底面にインクを塗り、先程と同じようにバフを使って色艶を出していきます。コバまわりもそうですが、靴の場合ただ艶を出せば良いとは限りません。靴によって色艶の出し方はそれぞれ違います。出来るだけオリジナルの状態に戻すように作業しているのです。
ここまで来ればあと一息!ヒールを止めて、コバまわりと同じようにグラインダーを使って整え、色艶を出していけばほぼ完成です!
Before
AFTER
いかがですか?かなり傷んでいたソールが新品のように生まれ変わったと思いませんか?今回は、ソール:レザー / ヒール:ビブラムシート仕様で行いましたが、その他様々なソール・ヒールをご用意しております(詳しくはリペアサービスページをご覧下さい)。レザーソールからラバーソールへの変更など、仕様変更なども承っておりますのでお気軽にお持ち下さい。と通常ならここでお終いと思われがちですが、ここから靴は各店へ戻され、アッパーの仕上げ直しという重要な作業がまだ残っているのです!
ここからは、職人さんからバトンタッチして各店スタッフの仕事です。1足1足ステインリムーバーを使って汚れを落とし、クリームを塗り、ブラシ・空ぶきをして完成です。さらに靴の状態によってはシミ抜きをしたりと、より完璧を目指して作業しています。ご希望であればハイシャインなどもサービスで行っています。預ける際にお気軽におっしゃって下さい。
Before
AFTER
さあこれで本当に完成です!少しくたびれていた靴が、見違えるように綺麗になったと思いませんか?革靴はきちんとメンテナンスをし、修理をすれば独特の味も出ますし長持ちもします。今回ご協力頂いた I 様も、きっと喜んで頂けるのではと勝手に思っております(笑)!
いかがでしたでしょうか? 前編・後編と 2回に亘ってお届けした今回の修理特集。靴を張り替えるという言葉の中に、これだけの手間隙をかけて行っているのがお分かり頂けたのではと思います。皆様がこれを機会に、少しでも修理を身近に感じて頂ければ幸いです。このように、TPの場合修理を含むアフターサービスを、商品と同様大切に考えています。靴の傷みが気になったら、是非お気軽にTP各店にお持ち下さい(他店で買われた靴でも修理は大歓迎ですよ)。時間と費用は多少頂きますが、皆様の期待に応えられるよう、これからも職人さんとTPスタッフの共同作業で頑張っていきたいと思います。今後とも宜しくお願いします!
|ALBERTO FASCIANI
|Allen Edmonds
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|Antonio Maurizi
|CARMINA
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|Gianfranco Lattanzi |Hall & Marks |Mack James/Carlos Santos |NASSOW |Riccardo Bestetti |Soffice & Solid |
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